「More Effective Agile」の感想

はじめに

ご縁があって、アジャイルをテーマにした以下の書籍を監訳者の長沢 智治さん(@tnagasawa)からいただきました。

Steve McConnell (著)「More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標」(監訳者:長沢智治 訳者:株式会社クイープ)

私は株式会社ホロラボで「mixpace」というサービスの開発に携わっています。開発ではスクラムフレームワークを取り入れていますが、うまくいくこともあればうまくいかないこともある、うまくいかないことは改善しようと策は打っているがそれでも改善できないときもある、そんな日々を過ごしています。そういったときに役立つもの一つが先人の知恵を集めた書籍となるのですが、この度弊社CEOからの紹介を通じて「More Effective Agile」をいただきましたので、そちらの感想を書いていきたいと思います。

全体の感想

筆者の経験に基づいていた実践的なプラクティス

他の書籍でもアジャイルは銀の弾丸ではないというのはよく書かれていますが、この書籍ではより色濃くそのことが書かれていると感じました。 書籍では筆者の経験からアジャイルのプラクティスがうまくいかないのはどういったときか?そういった状況を打破するためにはどんなアプローチが考えらるかが紹介されています。

例えば、スクラムではスプリントの長さを固定することはベロシティやプランニングの精度向上に貢献するが、その一方でハムスターの回し車に乗っているような気分になってしまいチーム内でスプリント疲れが発生しがちにもなる、それを解消するためにスプリントの長さをたまに変更してみると改善につながった、といったような「より効果的に」成果を出すための考え方やアプローチが紹介されています。

もしスクラムなどのフレームワークを使って開発プロセスをまわしているときに、「どうにもうまくいかないな」ということがあれば、この書籍から解決の糸口が見つかるかもしれません。

リファレンスがいっぱいある

この書籍では背景となるアジャイルムーブメントからチームと個人、効果的な作業、組織への展開といった多くのテーマについて約290ページで書かれています。 どのテーマもとても価値がある考察が含まれていますが、それでもしかし、より詳細を深堀りしたいとなるとこの書籍だけでは物足りない部分があるのも正直なところです。

そういったことを見越してなのか、この書籍では深掘りに繋がる参考文献が多く紹介されています。しかも巻末にまとめてではなく、章ごとに参考文献の節を設けているためハンドブック的な使いやすさを備えています。 日ごろプロセスを回すなかで悩みごとが発生したときに、この書籍を入り口として参考情報に素早くアクセスできるというのは、個人的にこの書籍の中でとても価値があるところだと思っています。

個人的に印象に残っている章

6章「チーム文化」、8章「個人と対話」

プロジェクトの良いアウトプットは動くソフトウェアだけではなくチームとそのメンバーの成長である、という内容がとても印象に残っています。

達成感や充足感といった内発的なモチベーションがソフトウェアの生産性には最も重要で、そのモチベーションが刺激されるのはチームおよび個人が成長を実感できたときである、というのに共感しました。 書籍では自律、熟達、目的をうまく循環させることがモチベーションを支えるのに重要であり、その循環を良い方向にまわす行動とアンチパターンとなる行動が紹介されています。言うは易く行うは難し、なものですが自分の行動を振り返るよい指標だと思いました。

その中でも大切な行動が対話で、こちらはアジャイルマニフェストでも重要であると宣言されています。チーム内でもこの書籍を参考に、効果的ミーティングを行うためにガイドラインを設けて運用しています。

また、個人の対話についてはチームメンバの@YamagichiMが「ゆるふわ1on1」という素晴らしい取り組みを行ってくれています。

このようなソフトスキルにカテゴライズされるようなものの向上もプロジェクトのアウトプットとして出てくるといいな、と思いました。

13章「要求の作成」、14章「要求の優先順位付け」

現在、チームでサービスを開発する上で一番難航するのがプロダクトオーナーと開発メンバ間でのプロダクトバックログアイテムの仕様のすり合わせとその優先順位付けです。お互いロールも立場も視点も違うので、もちろん衝突することもあります。ただ、衝突を避けてここを疎かにしてしまうと、あとで大きな手戻りが発生してしまいチームのモチベーションにも悪い影響が出てしまうことも経験しているので、やるときは真正面から試行錯誤しながら取り組んでいます。

書籍でも要求についての課題の解決はアジャイルプロジェクトを成功に導く重要なポイントとして、要求の作成プロセスと要求作成時の中心人物であるプロダクトオーナーが持っておくと効果的なスキルセットが紹介されています。特に作成方法についてはユーザストーリーマッピングについてページを割いて解説されています。

ユーザストーリマッピングはチーム内でも取り入れようとしていますが、まだ体系的に理解しているとは言いづらいので、参考文献としても挙がっている以下の書籍をそばに置いて取り組んでいこうと思います。

最後に

改善すると新しい課題が見えてくる、自分たちは徐々に成長し続け時間が経てば経つほどよくなっていく、書籍にあるようなチームを目指していきたい所存です。

この本を読むきっかけを与えてくださった、監訳者の長沢 智治さん(@tnagasawa)と、紹介者の中村 薫さん(@kaorun55)に感謝いたします。